20年目の情事

もう20年間W不倫生活をしています。不安がないと言えば嘘になる。でも、一人で生きていくには辛すぎる。

お料理上手に

どうしたのカズ!!


あの最中に突然うずくまるカズ。


ドキドキしながら私も起き上がり、

カズの背中をさする。



「あっ、いや、ごめん・・・

なんか分かんないんだけどさ、

急にめくれ上がったみたいな感じに痛くなってさ・・・」


「いや、ごめん、

ほんと、大丈夫、大丈夫・・・」





明らかに大丈夫そうではない。




あの飛び上がりかたは尋常じゃない

・・・と言うか、

こんな場面で、そんなところが痛くなるなんて・・・




ナゼにっ!!??





と、ここで

昔付き合っていた男を思い出した。

カズと似たタイプの2番目の男。

(↑この場合のカウントは婚外恋愛の2番目の彼氏)



その彼と別れる直前、

冷めきっていた私の心。


最後にした時、ありえないくらい

カラカラで、全くどうして?

湿りもしない、ということがあった。

(↑変な表現失礼します)


結局、その人と出来なくて、

口喧嘩になるという事があった。

(↑結果、別れた)



カズとの営みでは

いつも恥ずかしいくらいシーツを

濡らしてしまう私。


この日は心穏やかでなかったにせよ、

乾いていたわけでもなく、

途中までは大丈夫だったのに

どういうわけか、

奥のほうは砂漠地帯だったのか?

相当滑りが悪かったらしく、

彼のJr.はけっこうなダメージを受けたようだった。


またあの時みたいになってる・・・?

しかも奥のほうだけが??






凍りつく私。





何故か恐縮しているカズ。






もう、この場の続行は不可能に近い。





なんとなくこの場はうやむやにしなくてはと思い、

サラ〜っと他の話をしてみた。


「あ、そうだ。

サンドイッチ作ってきたんだけど食べる?」



「えっ?!ミカちゃん作ってきてくれたの?」

と、嬉しそうな顔に変わるカズ。


そこからはピクニックタイム。


ベッドの上に持ってきたサンドイッチをキレイに並べる。


私「作ったのだけじゃ足りないかな、と思って

デパ地下でカツサンドも買ってきたよ」


カズ「ん?俺、ミカちゃんが作ったほうが食べたい」




ありがとうカズ。

でも明らかにデパ地下のカツサンドのほうが美味しそうです・・・



手作りサンドの横にカツサンドも並べる私。


カズ「君、ホントに料理上手いよね。

このサンドイッチめっちゃ美味しい!!

それに、こないだのだし巻き玉子もほんとにおいしくてキレイに巻けてたし、君はホントに料理が上手いんだな!」



・・・・・あの、カズ、

私はちっともお料理上手なんかじゃないよ。

唐揚げだってズルして買っていったし・・・

さらに言えば、

主婦ならたいてい、だし巻き玉子くらい巻けるように思うよ・・・・


と、謎に思ったが、


カズ「うちの奥さんさ、料理あんまりしないんだよね。おかずなんてたいてい買ってきたもんばっかりだしさ。

それにだし巻き玉子なんて難しいから巻けないって言うんだよね・・・

君、ほんとにキレイに巻いてたよね。」




はっ?!!



それでかっ!!

この前の全然たいしたことないであろう

私のお弁当にあれだけ感動していたのは!!


だし巻き玉子すら巻けない奥さんだっただなんて・・・



カズ「だからさ、土日は仕方ないけど平日は家でご飯食べたくないんだよね。

子供は可哀想だけど。」



確かに、いつも疑問に思っていた。

平日は誰かと飲みに行ってるか、

ジムに行ってるか、

予定が無い時でも一人で飲みに行くと言っていたカズ。


そっか、

家でごはん食べたくなかったからなんだ・・・

そうだったのかぁ。


だし巻き玉子を巻けるというだけで

こんなに誉めてもらえるなんて・・・



中学生かっ!?



みたいな感じだけど、

何故かカズの中では

お料理上手なミカちゃんになってしまっている。


でもここは素直にありがたく喜ぼう。

お料理上手なんて

今まで言われたことなかったよ。


それもこれも

私よりお料理できない奥さんのおかげ。



カズの奥さんありがとう・・・

niceの連打を送ります。

心が戻らない

私は血迷っていたのかな

溺れかけていたのかな・・・



不倫という甘美な沼に



だからここで溺れずにすんで

よかったんだろうか・・



うちの家は物心ついた時から

両親はいつ殺し合いするんだろうと思うほど

仲が悪く、憎みあっていた。


だから私は結婚に夢など持ったこともなく、

幸せな家庭というものがどういうものか、

今、もう人生の折り返し地点だというのに

まだわからない。


恋愛に関してもとてもドライで

いつもどこか冷めていて、

男に溺れるといったことがない。


恋愛はいわゆる自分を高めてくれるツールみたいなもので

心が幸せで満たされるような感覚ではなかった。




ただ彼に出会うまでは。





あれからというもの、

カズは私にとても優しくなった。


そして必ず言葉で伝えてくる。


「めちゃめちゃ好きだよ。」

「僕のみかちゃん」

「ずっと一緒にいよう」


そんな嬉しい言葉を

素直に心で受けとめられない自分が悲しい。





バレンタインの少し前

カズに会った。


気乗りしないデートだったが

一応イベントだし、

私はたいして得意でもない手作りのサンドイッチと

チョコを持って出かけた。



カズはいつものように

私を抱きしめてキスをする。



またいつもの時間。



強引だけど優しいカズ。

とても好き。

でもとても不安・・・・




そんな最中に驚くようなことがあった。

カズが私の中に入ってきた時




「いたいっっ!!」


カズが私の体の上から飛んで離れた。

そしてうずくまっている。


私もびっくりして

何が起こったのかわからず


「えっっ??なに??

大丈夫??どうしたの!??」


さらに不安でいっぱいになる。

喧嘩だったの?

突然のサヨナラ宣言をされてからの私。

なんとか関係を修復して

またカズとの日々を送っている。


私の大好きな人。

その声もカラダも全て好き。



なのに


何かが違う。



あれだけ恋焦がれていた心が

どうしても

ここに帰ってこない。


彼のことを考えるだけで

胸が熱くなるほどいとおしく思っていた

薔薇色の気持ち。


あの気持ちが思い出せない。


横で笑っている顔を見ても、

抱きしめてくれるその腕の中にいても、

その優しい声で愛の言葉を囁かれても、


私の心まで届かない。


ちゃんと聞こえている。

ちゃんと感じている。


なのに、心まで届いてはいない。


一度壊れたものは二度と同じ形には戻らないのかもしれない。


その心の中に残るヒビは

隠すことはできても

無くすことはできない。



彼が好き。

でも彼が怖い・・・・


またいつサヨナラを言われるかと思うと

心穏やかではいられない。





「愛してるよ。ミカちゃん。

俺さ、君と仲直りしてから

君のことばっかり考えてるんだ。

本当に君を失わなくてよかった・・・

また来週も会える?」




仲直り?




あれはあなたにとって

ただの喧嘩だったの?


私の心は元に戻れないくらい

粉々になったんだよ。


気付いてないの?