20年目の情事

もう20年間W不倫生活をしています。不安がないと言えば嘘になる。でも、一人で生きていくには辛すぎる。

彼のお願い

そう。

彼のお願い。


忘れていたわけじゃないけど

面倒くさがり屋の私。

何気にスルーしてきた。


初めて会った時の服を着て来てほしい。

あの時、もう

衝撃を受けるほど可愛かった(←彼いわく)

あの時の服装で来て。


いいんだけど、

季節が変わったし暑いし〜

と、流していた。


それともうひとつ。

お弁当を作ってきてほしい。


きっとこれはお料理上手な女性には

むしろ嬉しいリクエストかもしれない。

でも私はたいして得意分野でもないし

何と言ってもうちはいつも旦那さんが家にいてるから、

かなり難易度が高い。

それにお弁当を作って持って出かけるなんて不自然だし・・・

と、色んな理由をつけては先延ばしにしてきた。



でも、もう、ここは仕方ない。

やるしかない。



約束の日。

前日から頑張って下ごしらえ。

唐揚げはズルして近所のおかず屋さんに揚げてもらったけど(←ごめんよー)

あとはなんとかやってみる。

だし巻き卵もなんとか作り、

彩り考えて完成。


そして初めての日の服装に着替えて

彼に会いに行った。



お弁当作らされてる時点では下がってたテンションも

ホテルに着くと少し回復。


仕事で20分遅れてきた彼とお部屋へ。

(↑実は来ないのかと思って焦った)


緊張・・・・


怒ってるのかな・・・

と思ってたのに、何気に優しい顔をしてる。

というか、可哀想な人を見るような顔。


部屋に入り、ベッドに腰かけて

真っ直ぐこっちを向いて、

私の話を聞いている。


私はたくさん書いた悪口は本心じゃないこと、

今でもずっと好きなこと、

それから、それから・・・


もう、何を話していいのかわからない。

声にならない・・

泣き落としだ。なんて思ってたのに

涙も出ない・・・・・



「こっちにおいで」

動けない私


「こっちにおいで!」ともう一度彼。

やはり緊張して動けない。


「許す!」

「もう許すから。もういいから」と彼。



許す?

そうなんだ。許していただけるんだ。

へぇ・・・

と、なぜだか冷めた気持ちになる私。


彼: なんかあんまり嬉しそうじゃないよね?

とにかく、こっちにおいで。


そう言って私の腕を掴むと同時にベッドに押し倒す彼

いつもと同じ・・・


強引なカズ

片手で私を抱き抱え、

その手で私の手首を掴む。


動けない


この時間がとてもいとおしく

好きだった。


なのに

なんだろう・・・


私の心と体があまり喜んでいない

生きていけない

彼にメールを出してみた。


あなたがいなきゃ、

私はもう、生きていけないの。

お願いだから

そばにいてほしい。


あの日から

私の時間は止まってしまって

もう、涙で前が見えない。

カズ、

なんで私を捨てたの。

ずっと一緒にいるって言ったのに・・・


嫌いになろうと思って

一生懸命思いつく限りの悪口書いてみたけど

どうしたって

カズのこと嫌いになんてなれない。

カズ

大好きだよ。

本当に本当に大好きだよ

お願いだから

私のそばからいなくならないで。



渾身の思いを込めてラブレターを書く。

届くはず。

きっと心は離れていない・・・





案の定

すぐ返事がきた(←ホントは待ってた?)


でもそこはカズ

俺様気質の彼は


「どうしよっかな〜

あんだけ悪口言われたしな〜。

ちょっと考える。」



いや、

あんたも待ってたんじゃないの?


何が考えるだっ!(怒)


でもここは我慢。

もう一度すがってみる。


「違うよ!

だってね、あの時はカズのこと、

嫌いにならなきゃいけないって必死だったの。

あの悪口考えるのどれだけ時間がかかったか・・・

本心のわけないでしょ!」




すると、

待ってましたと彼


「わかった。

じゃあ、会う。

会って君の話をちゃんと聞く。


だけど、僕が何度も言ってるお願い覚えてる?

それちゃんとそれしてきて!」




と、条件付きで会えることになった。

すがってみる

久しぶりに見たカズからのメール。


もう2度と来ないと思っていたカズからのメール。


縁があればまた会える・・・・・って?

まるでまた会いたいみたいな口ぶりじゃない??


本当に楽しかった・・・・・って?

だったら別れる必要ないんじゃない??



そもそも、別れたい相手にいちいち返事出す??


じゃあね。って、


私がどんな思いでサヨナラしたと思ってんの?

なんでまた返事書いてくるの?


腹立しい気持ち半分、

でもまだ私の方を向いている彼の気持ちに少し安堵・・・



別れる気ないでしょ、カズ・・



プライドの高いカズ。

自分から言い出して、

引くに引けない状態になってるんでしょ・・・

と、都合よく解釈してみる私。


でも、もしも今、彼を失ったら、

私の受けるダメージは尋常じゃない。

明らかに生活に支障が出る・・・

そもそも、

もう既にまともに普段の生活が送れなくなっている。



あの腕の中にもう一度入りたい。



致し方ない。

もう、ここは、こういう場合は、

泣き落とししかない!!!


私は全てのプライドを捨てて、

彼にすがってみることにした。